夜明けのポンチョマン

さすらいさすらってながれてながされて

テラスハウスはとっくに破綻していたのかもしれない

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テラスハウスが大好きで2012年から始まったシーズン1から全話欠かさず観ていた。

 

本編を観終わって、すぐに副音声版を観返す。

 

それがシーズン中の月曜深夜のルーティンだった。

 

もちろん現在配信されているTOKYO2019-2020も毎週楽しみにしていた。

 

そんな中、2020年5月23日に衝撃的なニュースが飛び込んだ。

 

『木村花死去』

 

なんで?あんなに元気な子が?病気だったのか?と最初は何が起きたかわからなかった。

 

この思考に陥っている時点で自分の感覚は麻痺していた。

 

 

いつからか自分はテラスハウスで起こる事件を心待ちにしていた。

 

事件が起こると誰が正しくて誰が間違っているかの議論がスタジオメンバーを経由して視聴者の間で行われる。

 

そしてヒールとして叩かれてしまうメンバーが現れてしまうのである。

 

ヒールはどうやって生まれてしまうのか。

 

テラスハウスNetflixの本編配信以外に独自のYouTubeチャンネルを持っており、そこで未公開映像を公開している。

 

しかしそれは出演者への誹謗中傷を考慮してからなのか全てコメントはオフに設定されている。

 

そしてもうひとつ、テラスハウス関連のYouTubeで言えばNetflix JAPAN公式チャンネルに『山チャンネル』というものがある。

 

この動画はその週のテラスハウスの内容を受けて、南海キャンディーズの山里さんが独自の視点で振り返るという趣旨のものだった。

 

出演者に対して辛辣なコメントをすることもあるが、それは彼に与えられた役割のひとつ。

 

それ以上に丁寧に観察を繰り返し、放たれる考察には番組愛を非常に感じたしプロの仕事だなと強く感じた。

 

こういった事態に陥って彼を叩くのはお角違いもいいところだ。

 

そもそも山里さんは木村花さんに対して批判的な意見は自分がみた限り言っていない。

 

 

しかし、このチャンネルには少し違和感を感じたりもした。

 

テラスハウス関連の動画でこの動画だけがなぜかコメントフリーだったのだ。

 

その中ではテラスハウスの本編を観た視聴者からのコメントが毎週数千と書き込まれていた。

 

その内容は、出演者に対する罵詈雑言が大半を占めていた。

 

正直、自分は書き込みこそしないものの、ここに書き込まれているコメントをみて「ああ、わかるな〜」と共感したりもしていた。

 

それだけに毎週この動画をみて、視聴者間で交わされている議論を覗くのが楽しみになっていた。

 

しかし、これは言葉を扱うプロである山里さんだからこそできることで、安易に素人が踏み入れるべきことではなかった。

 

それにも関わらず、一般人からの辛辣なコメントが山チャンネルの動画に放たれていく。

 

このコメント欄での一般人同士の議論がアンチの意見を増幅させていたのは間違いないだろう。

 

Twitterで交わされるテラスハウス関連の議論も同じだ。

 

いつからかTwitterでは出演者を叩いてそれが辛辣で、かつ痛快であればそのツイートは伸びるようになっていた。

 

シーズンを重ねるごとにそれは顕著になっていった。

 

それを嬉々として見ている自分もいた。

 

スタジオメンバーの言葉に安易に扇動された視聴者がSNSのコメントやYouTubeのコメントで出演者を叩くことを目的とした議論を展開する。

 

この時点でもうエンターテイメントとしては破綻していたのかもしれない。

 

人をおとしめる上で成り立つエンターテイメントなど倫理的にあってはならない。

 

現にそれが原因で亡くなった出演者が現れてしまったのだから。

 

その風潮が加速度的に高まったのはチュートリアル徳井さんが活動自粛により、スタジオからいなくなってしまったときからだと感じる。

 

脱税が発覚したのは2019年10月の後半、ちょうど木村花さんが入居した時期と同じくらいのときだった。

 

ただし、収録分があるのでスタジオからいなくなるのは数週間その姿を見守ったあとだ。

 

スタジオメンバーにはなんとなくの役割がある。

 

徳井さんはお父さん、YOUさんはお母さん、そして山里さん、馬場園さん、トリンドル玲奈さん、葉山さんはその子どもたちといった具合いだ。

 

奔放に子どもたちは発言し、お父さんお母さんがそれを「まぁまぁ…」となだめつつ、大人の余裕でもって意見をする。

 

この絶妙なバランスでテラスハウスは保っていた。

 

しかし、お父さん役である徳井さんが活動自粛で抜けてしまい負の連鎖は高まっていく。

 

ストッパーの役割である彼を失ったスタジオは以前にも増して出演者に対して辛辣な言葉を浴びせることが多くなっていったように感じた。

 

それはTwitterでも少し話題になっていた。

 

「え、それって意見というよりただの悪口では…?」

 

と少し引いてしまうコメントが顕著になっていった。

 

もちろん単純になだめる役を失ったこともあるが、番組の柱を失ってそれを埋めるために他のメンバーがそれまで以上に奮起しているようにもみえた。

 

そしてそんな最悪な状況の中で木村花さんという純粋な人物がヒールとして仕立て上げられてしまうのである。

 

まるで番組を盛り上げるための生贄のように。

 

思えばテラスハウスの番組の制作の仕方もALOHA STATEシーズンあたりからヒールを仕立てる演出を好むようになったように感じる。

 

ALOHA STATEではシェリーさん、軽井沢編では田中優衣さんといった具合いに。

 

調べたら出てくると思うのであえて詳細はここでは割愛する。

 

いまどきSNSのアカウントを持っていないほうが珍しい。テラスハウスに出演する人物となれば尚更だ。

 

事件を起こした後、それぞれのSNSアカウントにはバッシングが殺到し炎上していた。

 

自分もたまにのぞきにいったりしたのだが、「不快だ」「早く卒業しろ」など他にもここでは書きたくもないような暴言がコメント欄に無責任に書き込まれていた。

 

しかし、私は「まぁ、それがネットの世界だよな」なんて呑気なことを思いながら眺めていた。

 

そして問題のTERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020シーズンが始まる。

 

彼女が初登場したのはNetflixでは2019年10月21日配信されたパート2の20話からだ。

 

半年以上入居していたので、入居の長いメンバーの一人だった。

 

彼女は女子プロレスを広める目的で入居してきた。

 

明るく常に笑顔で、その社交性からすぐにメンバーに溶け込んでいった。

 

恋愛経験はほとんどなく、恋に恋する純粋無垢な女の子といった印象を受けた。

 

そして2020年3月30日配信分の放送で今回の引き金となった『コスチューム事件』はおきた。

 

これも調べたらいくらでも出てくるだろうから詳細を割愛する。

 

この事件は今までテラスハウスで起きた事件の中では毛色が違い、色んな媒体で取り上げられ視聴者ではない人たちへも派生するところとなった。

 

世間はコロナウィルスの影響を受ける真っ只中、エンターテイメントの世界へと自然と目が向きやすい時期だった。

 

恣意的な編集によってヒールとして仕立て上げられた木村花さんは大バッシングの海の中を漂うこととなる。

 

それは今まで見てきたものとは比べ物にならないほどに。

 

4月13日配信分をもって、テラスハウスはコロナウィルスの影響から配信停止となり、メンバーはそれぞれの家へと帰宅することになる。

 

これまでヒールに仕立て上げられたメンバーも、テラスハウスを卒業したあとは視聴者からの目を離れてバッシングの対象から徐々に外れていく。

 

当然だが注目度の高いテラスハウスを離れ、バッシングをする要素を失うからだ。

 

しかし今回、コロナウィルスの影響によってメンバーは解散はしつつもシーズンは継続中という特異な状況が生まれてしまうこととなった。

 

住民たちへの視聴者の注目度は保たれたままだ。

 

そんな中、テラスハウス公式YouTubeからこんな動画が公開された。

 

 


【41st WEEK】“コスチューム事件”その後Vol.1…「責めるつもりはないけど…」

 


【41st WEEK】“コスチューム事件”その後Vol.2…花、号泣。「快が100%悪いと思ってる?」

 


【41st WEEK】“コスチューム事件”その後Vol.3…「快はLINEも未読無視。電話も出ない」

 

コスチューム事件のその後にクローズアップした動画で、三本立てで公開された。

 

木村花さんが亡くなる9日前のことだ。

 

内容は『コスチューム事件』の後日談で、木村花さん以外の2人の女子メンバーが木村花さんに「あなたが怒るのもわかる。でもあなたにも少し原因があるのでは?」と優しくさとす様子が映し出されている。

 

それに対して木村花さんは信念を曲げず、意見は変えることなく泣き出してしまう。

 

今思えば、この動画はアンチの負の感情を再燃させるにはかっこうの素材だった。

 

毎週数本、公式YouTubeから未公開動画が配信されるのだが同じ話題で三本立てで公開することは異例中の異例だった。

 

それをみた私はというと、「そうそう、お互いに悪いところはあったんだから相手を一方的に攻めるのは良くないよ」

などと思い、それをツイートしたりもした。

 

この動画の違和感には無視をして。

 

コスチューム事件が取り上げられた本編の配信日は2020年3月31日、そしてこの未公開のYouTube動画が上げられたのは5月14日。

 

およそ1ヶ月半の開きがあった。

 

テラスハウスの一部の視聴者は違和感を覚えただろう。

 

「なぜいまさら?」

と。

 

なぜなら本編に繋がる話題の非公開動画を公式YouTubeが上げるのは、だいたい本編が配信された翌日のみだからだ。

 

さんざん叩かれてしまった内容なのだから後日談があったとしてもわざわざ引っ張り出して動画を上げる必要はない。

 

アンチに対して、「こんな叩く素材がありますよ。どうぞ叩いてください」と言っているようなものだ。

  

帰宅した木村花さんも世間の大半がそうだったように、自宅で過ごすことが増えたであろう。

 

卒業と同等の状況だがテラスハウスの配信は続き、現役メンバーとしてのバッシングは容赦なく続く。

 

亡くなるその日まで毎日100件以上のアンチからのメッセージが届いたという。

 

それを共有できる住民の仲間がいればその苦しみを分かち合うことはできるが、一人で抱え込む他ない。

 

それに加えて世間はコロナウィルスの未曾有の状況下。

 

こんな状況で精神が崩壊しない人間が果たしているだろうか?

 

なんのバッシングもなく自宅にこもっている人も精神に異常をきたす状況下である。

 

番組によって彼女が殺されたと言われても仕方ない。

 

この事件を知ってからというもの、ずっとモヤモヤしているのは私もそれに加担した一人だったからだ。

 

少し違和感を感じたりもしたが、テラスハウスの中で起こる事件、いざこざに熱狂してSNSで嬉々として発信をしていたのだ。

 

住民に直接発言することはなかった。

 

でも今考えれば感覚が麻痺していた。

 

テラスハウスの中には血の通った人間がいたのにその想像を欠き、フィクションの映画やドラマを観てコメントするように発言をしていた。

 

それは確実に彼女を火あぶりにする燃料のひとつになっていただろうから罪悪感を感じずにはいられない。

 

失って初めてでしか気づかないことがある。

 

その良い例が今回の事件だ。

 

悲しいが、このこともいつかは風化してしまうだろう。

 

だけど、このとき自分が感じた後悔の念や反省の気持ちは絶対に忘れたくない。

 

その思いで、形として残るよう戒めとしてこの文章を書いている。

 

これからもSNSが存在する限り、著名人に対してマイナスの感情をぶつける者が現れ続けるだろう。

 

でも、少なくとも自分はそんな存在にはならぬようにいたいと今回の事件を通して強く学んだ。

 

 


【新住人インタビュー10】木村花編「付いたあだ名は処女でした…」

 

 

これは木村花さんがテラスハウス入居前に受けたインタビュー動画である。

 

これから起こるであろう楽しい日々を想像してワクワクしているのがひしひしと伝わる。

 

理想のデートを尋ねられ、浴衣を着て花火大会に行きたい、夏祭りにも行きたい、ナイトプールとかも行ってみたい、海も行きたい、美術館とかもいいですね、動物園も行きたいし、遊園地も行きたいし、川とか山とかも行きたいと彼女は答えた。

 

矢継ぎ早に語る中で彼女は満面の笑みでこう言った。

 

「やりたいこといっぱいあるんですよね!」

 

なぜ彼女が死に追い込まれなければならなかったのだろうか?

 

私たちは自分たちが思ってる以上にこのことに関して考えていかなければならないのかもしれない。